「コロナ重症化」の次にシニアを襲う「インフレリスク」とは?
新型コロナウイルスのワクチンも開発され、コロナ禍も徐々に終息に向かう気配がしてきました。
終息するまでの数年間、重症化リスクの高い私たちシニア世代は、何とか感染を避けなくてはなりません。
トンネルの向こうに明るい光が見えてきたので、ここは何とか踏ん張って辛抱しましょう。
でもコロナ禍が収まっても、私たちシニアを待ち受けているのは、バラ色の未来ではないかもしれません。
「人生100年」とすると、65歳で退職したあとも、35年間生きなくてはなりません。
コロナ禍でさらに膨らんだ財政赤字
今回のコロナ禍による経済対策で各国とも、特に日本は財政状態がさらに悪化したということです。
10万円の特別定額給付金やGo toトラベルキャンペーンなど、大盤振る舞いのコロナ対策により、2020年度の新規国債発行額は112兆円を超えました。
一般会計歳出に占める国債比率は64%と、歳出の2/3を国債に依存しています。
2020年度の国債発行残高は、1000兆円を突破する見込みです。
他方で、コロナ禍による経済活動は低迷し、税収は大きく減少することが確実です。
この莫大な借金、国はどうするのでしょうか。毎年の歳入の数十年分をすでに先食いしている状態です。
将来に大きな禍根を残す大問題であることだけは、間違いありません。
シニアを襲うインフレリスク
国債を大量発行しているのに低金利が続いているのは、国債の多くを日銀が購入しているからです。
これにより日銀の財務内容が悪化し、信認が低下すれば、日銀券(円)にもマイナスの影響が出てきます。
このまま放置すれば、円の通貨価値が下がり、「インフレリスクが高まる」と考えるのが自然です。
われわれシニアこそ、インフレ対策が必要
だからと言って、いつどのくらいのインフレになるかは誰にもわかりません。
しかし、現状の日本の財政赤字はインフレーションでしか解決できないような状況になっているのも事実です。
国は今後超インフレに誘導することでしか、借金を減らす手段がない状況に追い込まれています。
それによって実害が出るのは政府や起業ではなく国民、特に年金生活者であるシニアです。
思えば、東日本大震災、コロナ禍を誰が予想できたでしょうか。
コロナ禍が収まった後に私たちを待ち構えているのは、お金の価値が漸減するインフレリスクです。
働いて現金収入を得る現役世代と違い、年金や預貯金で生計を立てるしかないわれわれシニア世代だからこそ、事前のインフレ対策が必要なのです。
どうインフレリスクに備えるか
では、どうインフレに備えたらよいでしょうか。
1980年代末のバブルがはじけてから、すでに30年が経ちました。
バブルを経験した私たちさえ、物価が上がらないのが当たり前の感覚になっています。
リスク資産の購入を検討する
インフレになり最もマイナスの影響を受けるのは預貯金です。
その預貯金で食いつないでいるのが、われわれシニアの年金生活者です。
デフレ時代のいま、預貯金が安定資産と云われていますが、インフレ期になれば安定資産ではなくなります。
定期預金や国債など元本保証されても、物価が2倍になれば額面は同じでも実質的な価値は半分になってしまいます。
安全資産でリスクを取らないことが、実は最大のインフレリスクになるかもしれません。
インフレに備えるには、株式や不動産、金、暗号資産など今現在リスク資産と云われている資産への切り替えも検討する必要があります。
いまならまだ、じっくり検討する時間はあります。
外貨資産への切り替えを検討する
インフレ通貨は貨幣価値が下がるため、日本でインフレが起これば、日本円の価値が下がり、円安になることが予想されます。
実質資産を目減りさせないためには、外貨資産を保有することが挙げられます。
日本の個人金融資産の90%以上は、円資産と言われていますが、これでは円資産に偏りすぎです。
外貨資産を保有することがリスクなのではなく、「保有しないのもリスク」かもしれません。
価値のある借金を検討する
お金を借りていればインフレになっても、実質的な借入金額は減少します。
金利の影響を考慮しなければ、物価が2倍になっても借金は2倍にならないからです。
インフレはお金を借りている人にとっては都合の良い現象なのです。
借家に住むべきか、持ち家に住むべきか、様々な考え方がありますが、インフレになるなら、持ち家に住むべきかもしれません。
老後資金として銀行に多額の預金を持っていても、インフレが来てしまえば、預貯金で買える物の量が減ってしまいます。
「長生きをしている間にインフレが来て、老後の蓄えが尽きてしまう」ーというのが、われわれシニアにとっての最悪のシナリオです。
働けるうちは働くことなのか
いくらインフレになっても、現金収入があれば資産と違い目減りすることはありません。
物価が上がれば、給与も上がるからです。
死ぬまで現役で働きたくはないですが、元気で長く働けるのがベストかもしれません。