「スカボロフェア」とは、スカボローの市(いち)のこと
中学1年生の時に、サイモンとガーファンクルが歌う「スカボロフェア」を聞いて以来、この曲は私の一番好きな曲になりました。
50年越しの夢を抱え、2019年6月にイングランド北部、ノースヨークシャー州の港町、スカボロー(現地ではスカーブラ、スカーバラと発音)を訪ねました。その名はバイキングの戦士に由来するとのことです。
ロンドンからヨークで乗り換えて3時間半。あこがれの地に初めて足を踏み入れました。
スカボロフェアは、中世から歌い継がれてきた民謡
Are you going to Scarborough Fair?
スカボローの市に行くのですか? →(戦で死んだ悪霊が旅人にそうつぶやく)
Parsley, sage, rosemary & thyme.
パセリ、セージ、ローズマリーとタイム。→(旅人は悪霊の言葉を聞くまいと、ひたすら魔除けの呪文を唱える)
Remember me to one who lives there.
そこに住むある人に私のことを覚えているか尋ねてください。→(悪霊は旅人にスカボローの愛する人へ伝言を頼む)
She once was a true love of mine.
むかし、私が心から愛した人なのです。→ (悪霊が旅人に何故伝言をお願いしたいのか、理由を話す)
【歌詞の2番】
Tell her to make me a cambric shirt.
その人にケンブリックのシャツを作って欲しいと伝えてください。→ (悪霊は旅人に無理難題な伝言を話す)
Parsely, sage, rosemary & thyme.
パセリ、セージ、ローズマリーとタイム。→ (旅人は聞くまいと、ひたすら呪文を唱える)
Without no seams nor needlework.
縫い目も無く針を使うことも無く。→ (無理難題な内容=縫わず、針を使わずにシャツは作れない)
Then she’ll be a true love of mine.
そうすれば、その人は私が本当に愛する人になるでしょう。
このスカボロフェアは中世から歌い継がれてきた民謡で、たくさんのバージョンがあります。
サイモンとガーファンクルが歌ったスカボロフェアもそのバージョンの1つで、彼らの作詞作曲ではありません。
同じイングランド民謡に「グリーンスリーブス」があります。スカボロフェアもそうですが、3拍子でEm(ホ短調)の曲です。
どうも私は、3拍子(ワルツ)の流れるようなリズムに乗った、マイナー調の曲が好みのようです。
スカボロフェアの詩の意味は?
中世の時代、戦(いくさ)で死んで悪霊となった騎士が、スカボローに残した恋人を偲び、通りすがりの旅人を見つけては、恋人に伝言を頼みます。
しかしその内容は、「針を使わないで薄手のシャツを作ってほしい」とか、「海辺の波と陸地の間に広い土地を見つけてほしい」とか、「革の鎌で収穫して」とか、まさにどう考えても実現不可能な内容です。
その無理が実現出来たら、彼女は私の本当の恋人になるのです。
騎士の悪霊は、そう旅人に語りかけます。
旅人はその願いを聞き入れてしまうと悪霊に命を取られてしまうので、しきりに魔除けのハーブ(香草)の名前を唱えます。
それが「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」です。
まさに魔除けの呪文です。
でも、悪霊として原野をさまよう騎士の魂が、いつかスカボローの恋人に逢うことができ、最後の別れを告げてから天国に旅立たせてやりたい・・・・。
スカボローの町を歩きながら、ふとそんなことを考えました。
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動画で見るスカボロー散策
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港町で保養地のスカボロー(スカーブラ)
写真でご紹介します。
アメリカではスカボローと発音しますが、イギリスではスカーブラ、スカーバラと発音されていました。
スカボロー駅前を出発し、メインストリートを海岸に向かって歩き出しました。
坂の途中に古い教会がありました。さらに進むとスカボローと書かれた観光案内板がありました。
海沿いの高台に見えるスカボロ城址を目指しました。中世の面影を色濃く残す残す廃城でした。
城跡に入りました。当日は6月の穏やかな日でしたが、城址が受けた数百年の風雪を感じました。
ポール・サイモンも駆け出しのワンマンバンドのころ、スカボローに立ち寄ったかもしれません。
坂を下り、古い港町を散策しました。スカボローのフェアと謳われた大陸との交易で栄えた市場の面影はなく、静かな港町、保養地であることが分かりました。
駅近くの公園から港を見下ろし、スカボローの町に別れを告げました。
ロンドンからの往復7時間、私のスカボローへの日帰り旅は終わりました。
スカボロフェアの故郷を訪ねる私の旅、本当に人生のいい思い出になりました。
文:小暮貢朗
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