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デッサンはやった方がよい
私はデッサンが好きではありませんでした。
50歳を過ぎてから油絵を始め、プロの画家を目指すわけではないので、いまさらレッスンの半分をデッサンに費やす意味があるのかと思っていました。
それより色を塗る油絵を一枚でも多く描きたい気持ちでした。でも、デッサンの必要性は肌で感じていました。
スケッチブックを開くと、習い始めのころのデッサンといまのデッサンが大きく変わってきているのが一目でわかります。
やはりデッサンは絵を描くうえで、避けては通れない基本技術なのでしょう。
やってみてわかったのですが、デッサンは時間と数をこなしても上達しませんし、第一楽しくありません。
ただデッサンするだけでは、時間の無駄
デッサンは、あまり楽しいものではありません。スポーツでも音楽でも、基本練習が面白くないのと同じです。
ましてやシニアの趣味として油絵を始める訳ですから、資本練習にさほど時間をかけたくないのです。
プロを目指す若者だったら別ですが、楽しむためなので早く絵を描きたいわけです。
そんなデッサンを楽しく、しかも速く上達させる方法があります。
好きな画家のデッサンを真似る
単純なデッサン作業を楽しくするためには、好きな画家のデッサンを真似ることです。
レッスン中にやると、先生に怒られるかもしれませんが、陰影や遠近の表現の仕方など大いに参考になります。
ただ先生の言うまま、教室にある石膏の胸像を描くだけでは時間の無駄です。
家で時間をつくり、気に入った画家のデッサン画を真似してください。
ちなみに、「デッサン」「クロッキー」「スケッチ」の違いをご存知ですか?
デッサンは物体を平面に時間をかけて描写することで、クロッキーは人物や動物をすばやく描写すること、
スケッチは人物や風景をおおまかに描写することです。
次に油絵も模写し、まねてみる
天才画家として知られるフィンセント・ファン・ゴッホが、日本の浮世絵から大きな影響を受けたことはよく知られています。
彼の画風は、浮世絵に出会う前と後では、まるっきり違います。私たちがイメージするゴッホの絵は、彼が浮世絵に出会った以降の絵です。
彼は浮世絵そのものを完璧に模写しました。
彼の作品「雨の橋」は、歌川広重の「名所江戸百景 大橋安宅の夕立」の版画を油絵で模写したものです。
そっくり真似ることで、色彩、構図の斬新さを勉強したわけです。
模写やコピーに抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、「学ぶとは、真似ぶこと」なのです。
構図、色使い、筆使いを観察する
ただ漠然と絵をコピーするのではありません。絵を正確に写すことが目的ではありません。
それより、どうしてこういう構図にしたのか、色の配置、混ぜ具合、筆のタッチなどを詳しく観察しながら、描き込んでください。
展覧会で実物を見るのもとても勉強になるので、そういう機会を定期的に設けてください。
また、ネットで実物のデジタル画像を拡大し、その細部を観察するのもいいでしょう。
1枚絵を模写したら、その技術で自分のオリジナルの絵を描く。そしてまた次の模写をする。
そんな流れで、いかがでしょうか。
模写した油絵を見せたくない、残したくないという方は、その絵を下絵としその上にまた新しい絵を描いたらどうでしょう。
こまめにデッサンする、好きな画家をまねするのまとめ
時間がかかる割には達成感のないデッサン?ですが、やはり避けては通れない基本技術です。
でも、どうせ時間をかけるなら効率よく上達したいものです。
それには、ただ先生に言われるままデッサンするだけではなく、自分で好きな画家のデッサンを真似てみることです。
デッサンに続いて、油絵を描く際も好きな画家、自分が描きたい絵を模写することです。2枚に1枚は模写でもいいと思います。
さらに、その絵の構図、色使い、筆使いまで観察すれば、絵を描く技術は飛躍的に向上します。
文:小暮貢朗
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